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2014/06/02

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<大阪弁護士会>高齢者相談10倍に 支援センター16年で

毎日新聞 6月1日(日

高齢者や障害者の法律相談を担う大阪弁護士会の支援センター「ひまわり」の相談件数が増え続け、発足した16年前の10倍近くになった。日本が「超高齢社会」を迎え、財産管理などに不安を抱く高齢者や家族が増えているのが背景だ。ただ、センターが橋渡しする成年後見人を巡っては不祥事も起きており、弁護士会は防止策にも乗り出した。【小林慎】

ひまわり(大阪市北区西天満)は1998年5月に設立された高齢者・障害者総合支援センター。現在では各地の弁護士会が同様の拠点を設けるが、近畿で初の専門センターだった。電話相談だけでなく、出張相談にも各地に先駆けて応じた。

ひまわりによると、昨年度は無料の電話相談、出張による相談件数とも、過去最高になった。電話は2650件で98年度(278件)の10倍近くになり、出張も398件で98年度(114件)の3倍に上る。

相談内容は相続、遺言、離婚など家族間のトラブルが中心だ。また、認知症の高齢者が増え、ひまわりに登録する弁護士が成年後見人に就くケースも急増している。大阪家庭裁判所が成年後見人に選任する弁護士は、原則として登録者の中から選ばれているからだ。昨年度は819件の依頼を受けており、成年後見制度が始まった2000年(30件)の27倍になっている。

司法制度改革で弁護士が増えたことによる「弁護士不況」の中で、高齢者や障害者の法的支援は需要が拡大すると期待されている側面もある。大阪弁護士会は関係機関や施設と関係の強化を図り、相談ルート開拓に乗り出した。

昨年度は施設などの職員、ケアマネジャー、ヘルパーらを対象に、無料の研修・相談会を27回開催。福祉の現場との信頼関係を築くことで、さまざまな家庭の事情を抱える施設入所者らの法的支援につなげたい考えだ。

ひまわりで活動を続けるある弁護士は「高齢者や障害者の権利を守るための需要は根強い。弁護士側の努力が必要だ」と話す。

◇後見人 信頼回復も課題

後見人になった弁護士が高齢者らの財産を横領する事件が各地で起きており、高齢者らの法的支援を巡っては、弁護士の信頼回復も課題だ。

大阪では2012年度、成年後見人の弁護士2人が高齢者の預金などを着服したことが相次ぎ発覚。成年後見人の弁護士の不祥事は各地で多発している。

大阪弁護士会は昨年12月、家裁に対する財産管理状況の報告が遅れた弁護士に、注意を促すことを決めた。日本弁護士連合会も資質向上のための研修義務化などを、各弁護士会に要請した。

日弁連によると、高齢者や障害者の専門支援センターは、昨年10月時点で全国の大半の弁護士会が設けている。先駆けは1997年の岡山弁護士会。00年4月に成年後見制度が始まり、全国に広がった。

ある弁護士は「活躍が期待される一方、不祥事の再発防止の仕組みを考えなければならない」と話している。