後見人の権限

後見人に与えられる権限と申立手続のまとめ

法定後見
区分 後見 保佐 補助
本人の状態 判断能力がほとんどなく、日常的な買い物もできず、常に介護が必要 判断能力がかなり低下し、日常の買い物はできるが、財産の管理は困難 判断能力が低下し、複雑な契約などにはサポートが必要
手続する人 家族・親族・本人
市町村長
家族・親族・本人
市長村長
家族・親族・本人
市長村長
支援する人 後見人
(家族・第三者)
保佐人
(家族・第三者)
補助人
(家族・第三者)
本人の同意
(手続のとき)
不要 不要 必要
与えられる権限 全面的な代理権
全面的な取消権
日常生活の
行為は除く
限定的な代理権、重要な財産行為についての同意権、取消権、権限内容の追加が可能 さらに限定的な代理権、限定された特定の同意権、取消権、権限内容の選択が可能
本人の同意
(権限付与について)
すべて不要 代理権には必要
同意権・取消権は不要
追加した権限には必要
代理権、同意権、取消権のすべてに必要
区分 任意後見 財産管理委任契約 後見制度支援信託
本人の状態 判断能力が低下し、複雑な契約などにはサポートが必要 判断能力が不十分といえない場合でも利用可能。誰でもいつでも利用でき死後の処理も委任することも可能です。 判断能力がほとんどなく、日常的な買い物もできず、常に介護が必要
手続する人 家族・親族・本人
任意後見受任者
本人 家族・親族・本人
市長村長
支援する人 任意後見人
(家族・第三者)
代理する人を選び当事者間の合意のみで効力が発生 後見人
(家族・第三者)
本人の同意
(手続のとき)
必要
(可能であれば)
必要 不要
与えられる権限 契約書に記載された代理権
同意権、取消権はない
財産や生活上の事務の全部または一部について具体的な管理をする 全面的な代理権
全面的な取消権
日常生活の
行為は除く
本人の同意
(権限付与について)
任意後見契約時に本人が同意済み 代理権には必要
同意権・取消権は付与されない
追加した権限には必要
すべて不要
重要な財産行為とは(同意権・取消権)
  1. 貸した土地、建物、お金を返してもらったり、それらを他人に貸したり預けたりすること
  2. お金を借りたり、他人の保証人になること
  3. 不動産や高価な財産を売り買いしたり、貸したり、担保をつけるなどすること
  4. 訴訟を起こしたり、訴訟を取り下げたりすること
  5. 贈与、和解をしたり、仲裁契約をすること
  6. 相続を承認、放棄したり、遺産分割をすること
  7. 贈与や遺贈を断ったり、何か負担をすることを条件とした贈与や遺贈を受けることを承諾すること
  8. 新築、改築、増築、大修繕の契約をすること
  9. 宅地は5年以上、建物は3年以上、動産は半年以上にわたって、賃貸借の契約をすること
権限の種類とその具体例
同意権・取消権とは

ご本人が行なった商品購入やサービス契約、住宅のリフォーム、保険の契約などの内容を確認し、問題がなければ同意をする権限です。

詐欺的商法による契約はもちろん、ご本人が行なった「不必要な高額商品の購入」や「不利益や損失をもたらす取引や契約」などを取り消す権限です。

* 例1)
悪徳商法に騙されたことがあるので、ご本人が行なった20万円以上の取引について、同意または取り消す権限
* 例2)
他人の保証人になって過去に失敗しているので、保証などを行なうことについて、同意または取り消す権限代
代理権とは

介護サービス、医療、施設入居、金融機関(銀行・保険・証券など)との取引などの契約を、ご本人に代わって行なう法律上の権限です。

生活費の送金、物品の購入、遺産相続手続、行政手続なども行なうことができます。

ご本人の預貯金通帳、キャッシュカード、不動産、保険、債券などの財産や実印、権利証、その他の重要書類を預かって管理し、必要に応じてそれらを処分する権限も含まれます。

* 例3)
物忘れで預金通帳や印鑑をたびたび紛失しているので、年金が振り込まれる銀行の通帳だけを管理し、出金などを代行する権限
* 例4)
有料老人ホームの入居一時金を作るため、ご本人が所有する不動産の売却を代理で行なう権限
留意点

「法定後見」の後見人、保佐人、補助人が行使できる権限の範囲は、法務局が発行する「成年後見登記事項証明書」に記載されます。

「任意後見」の後見人が行使できる代理権の範囲は、任意後見契約公正証書の代理権目録に記載されています。

後見人の権限や仕事の進め方に不明な点があるときは、家庭裁判所や任意後見監督人に確認し、その指示や助言に従うことが大切です。