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DATE
2020/08/27

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離婚した自分亡き後、幼い子が心配 未成年後見活用を

弁護士・大空裕康さん(ホーム法務Q&A)

私は昨年夫と離婚し、子どもたちの親権者となりました。幸い手元に多少財産はありますが、子どもたちは幼く、私の身に何かあったときが心配です。元夫に頼らず、子どもたちのために財産を活用できる方法を教えてください。

幼い子どもを持つ親であれば、誰しも一度は自分の亡き後を案じたことがあると思います。まして相談者のようにシングルマザーになられたとしたら、なおさらでしょう。

離婚後に親権者となった親が死亡した場合、親権者の地位が当然に他方の親、今回の相談で言えば元夫に移るかといえば、実はそうではありません。元夫が親権者になるには裁判所に改めて親権者変更の申し立てをする必要があります。裁判所が許可して初めて親権者になることができます。

では元夫以外の人に子どもたちの財産管理を任せたい場合はどうすればいいのでしょうか。親代わりになる「未成年後見人」という制度を活用できます。

未成年後見人には裁判所が選任する方法、遺言で指定する方法があります。しかし裁判所が選任する方法は子どもたちや親族がわざわざ申し立てをする手間がかかるほか、誰が選ばれるか不確実だという面もあります。また裁判所によって選ばれた後見人は定期的な報告書の作成義務などを負うため大変です。

一方、遺言で指定する方法であれば、確実に自分が望む人を後見人にすることができます。手続きもそれほど煩雑ではないですし、後見人の報告義務などもありません。

あえてデメリットを挙げるとすれば、後見人が私利私欲に走ってしまう可能性が考えられます。ただ遺言によって後見人の事務を監督する人(後見監督人)も併せて指定しておけば、ある程度は対応できます。

ところで遺言は法律の定めにのっとった形式のものでないと無効になるため、注意が必要です。最も簡便な形式は自筆証書遺言と呼ばれるタイプですが、文章の原則自筆や日付の記載、署名押印などが必要な条件とされています。

たとえこれらの条件が満たされていたとしても、従来の自筆証書遺言には紛失や改ざんのリスクがあったため、その活用を妨げる要因となっていました。

しかし7月10日から全国の法務局で自筆証書遺言書の保管制度がスタートしました。遺言書を公的機関に預けておけるので、紛失や改ざんを心配せずにすみます。自分が亡き後の幼い子どもたちの財産管理が心配な場合、積極的にこの保管制度を活用し、早いうちに未成年後見人を指定しておくとよいでしょう。