ニュース・お知らせ
2020年4月7日 読売新聞 医療・健康・介護のコラム
親族ではなく第三者が後見人を務めるのは、どんなケースか。同書は、専門誌の掲載事例の分析や、第三者の割合が全国的にみて高い岡山県での市町村や専門職ネットワーク組織「岡山高齢者・障がい者権利擁護ネットワーク懇談会」の状況をみている。親族がいない、家庭や親族の関係が悪化している、障害への対応などから専門家の対応が必要、本人が第三者の後見人を望んでいるなど、高齢化が進み単身世帯が増え、家族の規範も変化するなか、問題も複雑化している。岡山県では、専門職ネットワークの支援によって、市町村長の申し立てが他の地域に比べて積極的に行われていた。
判断力の低下した本人の周囲で頼るべきはだれなのか、福祉の現場では模索が続いている。都内の自治体で約10年にわたって成年後見制度の実務にかかわってきた職員が担当した約60件の多くは、親族がいなかったり、親族との関係が希薄だったりする人が、高齢化や病気・けがによって在宅で暮らせなくなり、成年後見人が必要となったケース。親族に連絡を取っても協力が得られなかったり、訪問販売の詐欺的商法で多額の金銭を払わされているのに被害の認識がなかったりといった困難な事例も。