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田中 あさみさんの記事を一部抜粋
成年後見人が希望通りに選出されないケースや「利益相反」の問題
成年後見人は基本的に親族間で話し合い決定しますが、必ずしも申立人が希望する人が選任されるとは限りません。親族を選出する場合もあれば、弁護士や司法書士などの専門家が選出されるケースもあります。
また親族を成年後見人にした場合、「利益相反」という事態が起こる恐れがあります。成年後見人と成年被後見人の利害が相反する行為をいいます。
例えば、認知症の父親を持つ長男が成年後見人となっている間に、母親が亡くなり、相続問題が発生した場合、長男は成年後見人かつ相続人となります。
成年後見人(長男)は被後見人(父親)の意思を尊重し本人の利益を図る一方で、相続人として自身の利益を最大化する権利も持っています。この状況が「利益相反」の状態で、親族の場合は個人的感情も影響してしまう可能性もあります。
「利益相反」の状態になってしまったら
「利益相反」の状態に陥ってしまった時には成年後見人を追加で選定する、成年後見監督人を選定する、特別代理人を選任するという方法があります。
「成年後見監督人」とは成年後見人を監督する家庭裁判所に選任された者のことで、実際にはほとんどが弁護士や司法書士等の専門職や社会福祉協議会となります。成年後見監督人が被後見人の立場になり、遺産の分割協議を行います。
特別代理人は「利益相反」の状態になってしまった時に家庭裁判所に選任される者のことで、成年後見監督人と同じく被後見人の立場で遺産の分割協議に参加します。
成年後見監督人、特別代理人共に資格は特に必要はありませんが、被後見人との関係や利害関係の有無を考慮して適格性を判断されます。
「利益相反」という事態を防ぐために、あらかじめ成年後見人を複数選定しておく、成年後見監督人や特別代理人を選定しておくといった方法を検討しておきましょう。