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3月26日法務委員会
つまり、市町村長申立の案件は弁護士や司法書士に任せなさい⇒報酬が約束されている
○政府参考人(苧谷秀信君) 今御指摘のございました市町村長申立てにつきましては、認知症の高齢者世帯、それも単身の世帯、それから親族間の紛争、高齢者虐待等の問題を抱え、対応が困難な事案が比較的多いというふうに聞いてございます。
このため、市町村におきましては、弁護士等の専門家の技術的支援を受けるための体制整備を進める、あるいは成年後見支援センターによる専門相談を行うなどの取組が行われていると承知しておりますが、なお、こういう職員のマンパワー不足、ノウハウ不足に対応しましては、厚生労働省といたしましても、このような市町村による先進的な取組につきまして、平成二十三年度に創設しました市民後見推進事業を通じて支援をしてきております。
さらに、平成二十七年度予算案におきましては、この事業に代わり、都道府県に設置します地域医療介護総合確保基金を活用しまして、新たに権利擁護人材育成事業を設けまして、都道府県等と連携しながら、市民後見人の育成と普及により一層取り組むことといたしてございます。
○矢倉克夫君 今、市民後見人の普及という部分がありました。それとはまた別に、専門家の後見人の方がより良く入る体制というのもまたこれからつくっていく必要があろうかと思います。
それで、あともう一個の理由なんですけど、先ほど申し上げた例含めていろんな方がおっしゃっていたのが、なぜ遅れたか。遅れた理由というのは、まず申立てが遅くなった最大の理由は、申し立てる方御本人にお金がなくて、専門家に依頼しにくかったと。なぜなら、報酬がやはりどうしても下がってしまう。そのようなことを受ける専門家の後見人の方の報酬というのがやはり少ない部分で、結局、皆さんたらい回しになってしまって、それが受けられないんじゃないかと。役所の人がそういうふうにおもんぱかって、その後、申立ての手続になかなか踏み込めなかったというような実態があるかと思います。
この実態を改善するためにも、今、現状は、例えば司法書士の方、弁護士の方、専門家の方、後見人をされるわけですが、特に先ほど申し上げた市区町村長申立てのような、財政的にやはりお金のない方、けれど、一番保護が必要な方であればあるほど報酬が少ないというような状態がある。その結果、実入りのいいものだけをみんなで取り合って、本当に大事なところに皆さんなかなか手を差し伸べない。これは専門家倫理の部分もあるんですが、それはひとまずおかせていただいて、そういうような方でもしっかりとサポートするような体制になるような、報酬体系部分も含めてやはり整備していかなければいけないと思います。
まず、これに対してどのような支援があるのか、こちらも厚労省からいただきたいと思います。
○政府参考人(苧谷秀信君) 今御指摘ございました、今後増加する認知症の方を始めとしました高齢者等の権利を擁護するため、成年後見制度を利用しやすいものとしていくことは非常に重要であるというふうに考えてございます。
このため、介護保険法に基づきます市町村による地域支援事業、この中に成年後見制度利用支援事業を位置付けまして、成年後見制度の利用が必要と判断される低所得の高齢者に関します成年後見制度の申立ての経費、それから成年後見人の報酬等を今現在助成しておるところでございます。このような取組を通じまして、後見に係る費用を負担するなど、成年後見制度の利用が進むよう支援してまいりたいと考えてございます。
○矢倉克夫君 これ、ここで項目取り上げましたのは、今もうずっと厚労省にばかり聞くような形になっているわけですが、やはり法務省としてもこの問題をより積極的に関わっていただきたいなと思っております。
とりわけ後見受任をする士業、例えばそのような方がしっかりこの分野に入り込むというような支援、これをしていく、入り込むことで本来起きなかった紛争の問題というのが起きない、未然に処理される可能性もあるかと思います。そのような体制をしっかり取れるように、いろんな専門家の方が入れるような体制支援というのをやっぱりしていかなければいけないなというふうに思います。
他方で、横領の問題とかそういうのもあったりとかする、そういう部分にはしっかり適切に配慮しなければいけないわけですが、その上で、法務省としてもこの後見人を受任する士業への支援を拡充するなど予算面も含めてより積極的に動いていただきたいと思いますが、その辺り、大臣からいただきたいと思います。
○国務大臣(上川陽子君) 社会が非常に高齢化が進み、また障害の方々とともにも歩む社会づくりという意味では、先ほどおっしゃった司法とそして福祉の連携という司法ソーシャルワーク、そしてその中でも成年後見人の制度というものは、非常に大事な制度であるというふうに考えております。
先ほど来のお話がございましたとおり、市区町村長により申立てが適切に行われ、それが実効あるものとしていくために、また同時に、そうしたニーズの増大に伴いまして、士業の方にも積極的に担い手としての役割を果たしていただくためにということでございまして、先ほど来、厚生労働省の方からも御指摘がございましたけれども、後見人の報酬の一部助成でありますとか、あるいは成年後見人の担い手の確保のための施策ということでございまして、そうしたものを踏まえて、また成年後見制度そのものを法務省が所管しているということでございますので、引き続きこの制度の周知徹底を図るとともに、厚生労働省等と必要な協力をしっかりと果たしてまいりたいというふうに思っております。
○矢倉克夫君 まさに制度を所管されている法務省として、他省との連携、もうこれはやっぱりしっかりしていかなければいけないなと。この分野、その部分で、所管所管という部分だけでいってしまうと、本当に大事な人への保護というのが抜け落ちてしまっているんじゃないかなという問題意識はありますので、省内含め、また他省との連携の会議の場等も設けるなど、様々な工夫をしてより一層の意見交換を是非今後もしていただきたいと思います。