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毎日新聞 2015年02月03日
東京都立川市の高齢男性が、介護サービスを受けた同市の介護会社に自分の銀行口座から無断でお金を引き出されたとして、450万円の返還などを求めて東京地裁立川支部に提訴していたことが分かった。この件について通報を受けた立川市は、東京都と共に「経済的虐待」に当たるかどうか調査している。
提訴されたのは、毎日新聞が2012年12月に連載した企画「老いてさまよう〜鳥かごの家から」の中で、介護報酬目当てに高齢者らを八王子市内の賃貸マンションに囲い込んだとして取り上げた介護会社。
訴状や男性の代理人によると、男性は足のけがなどがあり、13年8月に同社から介護保険サービスや生活支援を受ける前提で、指定された立川市内の賃貸マンションに入居。同社のケアマネジャーやヘルパーから訪問介護などを受けていた。
男性の銀行口座は元妻が管理していたが、元妻が体調を崩したため、14年1月20日に通帳を同社に預けて金銭管理を任せた。しかし、翌21日から10月までの約9カ月間に、住居費などに充てたとみられる150万円のほか、使途不明の450万円が無断で引き出されたという。このため約810万円あった預金は200万円台まで減った。
男性は、元妻が14年7月に死亡した後の10月、不安になって自ら口座を確認し、多額の引き出しに気付いて市に相談した。11月に代理人が預金通帳の返還などを求めたが、同社側が回答しなかったため提訴に踏み切った。請求総額は450万円に慰謝料100万円などを加えた605万円。
再三の要請で同社が開示した男性の現金出納帳には、150万円については住居費などに充てたとみられる入金が記載されているが、450万円の記載はなかったという。男性の代理人、芳賀培之(あつし)弁護士は「業務上横領と経済的虐待に当たる」と指摘している。
同社は取材に対して「何ら使い込みをしておらず、横領などはない」と回答。450万円については「200万円は元妻とともに、または依頼されて引き出し、元妻に渡した。別の200万円は現金で当社が管理し預かっている。50万円は住居費や生活費に充てた」と説明している。元妻に渡したことを証明できる領収証の有無や、200万円を現金で保管する目的など詳細については「係争中のため答えられない」としている