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地域包括支援センターから依頼があり、後見受任を前提にアセスメントを行った。
独居で直系の身寄りがない方だった。
信じられないことだが、この面接の日まで店舗経営をしていた。
訪問したその日まで、営業をしていて最後の商品の引き上げを取引先の人が数人来て在庫の確認をしていた。
それを待ってアセスメントを行った。
いつものパターンだが、ご本人は後見人制度を理解していないのは当然の如く、問題はその方向に動くことを認識していない。
当然、頭から拒否。
後見人をつける希望を行って居た唯一の親族も立ち会ったが、後見人の業務を聞き納得いかない場面も。
当然、説得する言葉は私には無いので、制度の説明だけでも構わない。
営業ではないいつもの淡々とした姿勢で話をする。
結論を出すのは、ご本人と親族だ。
1時間もして、親族は勿論、かたくなに他人が入ってくること自体拒否していたご本人が
「頼りにしています。頼むよ、あんた。」
と、何度も言われた。
間を置いて、再度、訪問することにした。
今日は信頼関係を構築する日であって、書類を説明する日ではないとの認識で居たのだ。
信頼を得るという目的は完全に達したようで、あとは制度に従った書類を整えて申し立てをするまで。
制度ありきではないこの後見制度。
最初は時間を掛けて信頼を得て、あとは加速度を増してご本人の利益になる運用をするだけだ。
店を出る時には、外まで出て来て手を振ってくれた。
「あんた、沢山儲うけて靴下くらい買って履きなさいよ。」
冬の最中でも、後見報酬の無い私は靴下も履けないでいるので、哀れに思ったのだろうか。
靴下を履かない人生をもう60年も続けている。