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2014/12/01

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知的障害者更生施設 入所者預かり金を不正貸し出し

河北新報 2014年11月18日

◎入所者親族に計4000万円超

秋田県湯沢市が運営する知的障害者更生施設「皆瀬更生園」(藤木頼己園長、入所者83人)が、障害基礎年金を受け取る入所者の通帳を預かり、入所者の親族に多額の金を貸し出していたことが17日、関係者への取材で分かった。施設関係者によると、30人以上の通帳から4000万円以上が貸し出され、ほとんど返却されていないという。障害者の権利擁護問題に詳しい専門家は「障害者虐待防止法が禁止する経済的な虐待に当たり、加担した施設の責任は重い」と指摘している。

◎ほとんど返却されず

更生園は湯沢雄勝広域市町村圏組合(管理者・斉藤光喜湯沢市長)が1981年に設置し、市が指定管理者となっている。
関係者によると、2001~12年度、入所者の親やきょうだい、おいなどに、少なくとも61回、4800万円余りが振り込まれた。金額は1回につき3万~500万円。親族の治療費や家のリフォーム、墓石の工事費などとして100万円を超える貸し出しが23件あった。
貸し出しに関する決議書には園長や職員らが決裁印を押した。入所者の意思を示す署名と押印の欄があり、「職員が代筆した」との証言がある。
施設は06年、保護者会と預かり金に関する協定を結び、通帳と印鑑を保管している。預かり金の内規は、使用目的を入所者の医療費や日常の生活費などに限定していた。
10年度から3年間、園長を務めた男性は河北新報社の取材に「親族から生活が苦しいなどと言われ、断り切れなかった。考え方が浅はかだった」と答えた。
06年、入所する弟の通帳から350万円を借りたとされる横手市の男性は「よく覚えていない」と話した。
秋田県障害福祉課は預かり金の使い道について障害者の便益を向上させる目的に限ると指導しており、事実を確認する見込みだ。
新村繁文福島大教授(権利擁護制度論)は「施設の行為は業務上横領に問われる可能性がある。貸した金は親族から返還させ、各入所者に成年後見人を選んで金銭管理を任せるべきだ」と指摘する。

[障害基礎年金]20歳以上の人が対象で、65歳以降に負った障害では支給されない。収入がない場合、障害の程度に応じて1級は月8万500円、2級は月6万4400円が支給される。