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DATE
2014/11/23

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高齢社会を支える後見制度の今ーその2

注目される“市民”後見人

こうしたなか、いま注目されているのが「市民後見人」です。
地域の身近な存在である一般の市民に“ご近所さん”として、後見人を担ってもらおうというものです。

市民後見人は多くの場合、地元の自治体が家庭裁判所に申し立てて選ばれます。
無報酬もしくは月に1万円程度で後見活動を行っていることが多く、年金暮らしで財産の少ない人も支えることができると期待されています。
3年前に法律が改正され、市民後見人を養成することが自治体の努力義務となりました。
これに先駆けて品川区では8年前から養成を行っていて、年金や介護保険の実務などを学ぶ養成講座には、毎年定員を超える応募があるといいます。
養成講座に参加した人たちに取材すると、「仕事を退職した後も社会の役に立ちたい」とか「自分も将来、地域にお世話になるので今できることをやりたい」という声が多く聞かれました。

市民後見人が直面する事態

品川区では現在20人が市民後見人として活動していますが、想定されている役割を超えた判断を迫られることがあるといいます。

その1つが「医療行為への同意」です。
成年後見人は本来財産の管理をすると法律で定められており、手術や輸血、予防接種などの医療行為について判断することは想定されていません。
ところが実際には、医師から判断を求められることが多いと言います。

2つ目が「死後に発生する手続き」です。
法律には、後見人の役割は本人の死亡と同時に終了すると定められていますが、身寄りのない高齢者の場合、葬儀や納骨まで市民後見人が引き受けるケースもあります。
NHKが行ったアンケートでも成年後見人を巡る課題として「手術など医療行為に同意する権限がないのに対応を求められる」「死後の権限が無いため遺体の引き取りや葬儀の対応に困る」と答えた自治体がいずれも6割を超えました。

高齢化社会支えるには

医療行為への同意や葬儀など死後の対応が必要になった場合、自治体などはまず親族に連絡をとろうとするのですが、親族を把握できなかったり関わりを拒否されたりするということです。
「遺骨だけ送ってほしい」と言われるケースもあるといいます。
成年後見人は財産を管理するにあたって、その人の生活や健康状態も把握することになるため、家族の代わりのように頼られてしまう実態があります。

今後も増えると言われる認知症の高齢者。
国民生活センターに寄せられた訪問販売などのトラブルの相談は、昨年度およそ1万1000件と過去最多となりました。
高齢者をどう見守っていくのかは大きな課題です。
市民後見人の養成とともに、迷わず活動できる体制を介護や福祉、それに立法の分野の関係機関が連携して整えることが求められています。