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2014/05/14

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日本人は『死に方』について“意思”を持つべき【悪徳終活業者への対処法】

週刊SPA! 5月11日(日)

高齢者が「周りに迷惑をかけたくない」と考え、生前に死後の各種処理を決めたり、事前に契約する例が増えている。高齢化社会で「終活ビジネス」はもはや大市場だ。しかし、そこに悪徳業者が待ち構えていた!

実際の被害例としては、本人に成り代わり、数百万円もするバリアフリー・リフォーム契約が結ばれたり、必要もないのに家屋全体をオール電化にして、屋根に太陽光パネルを敷き詰めたりするケースがある。悪徳業者が法外な高額商品を購入させる例も多いという。

「銀行キャッシュカードを預かり、ネットバンキングの取引限度額を無制限にすれば、預貯金は自由に動かせられる。高額商品の購入・契約についても、委任状があれば代理人という形で契約できます。遺言を支配すれば、死後の葬儀から不動産処分などにも優先的に食い込めますしね。こんなおいしいビジネスはないでしょう」(Y氏)

まさに死ぬまで、死んだ後まで食らい尽くす。これこそが、悪徳終活コンサルの最終目標というわけだ。高齢化社会が進行するにつれ、こうした悪徳ビジネスへの対応は必須だろう。“法の穴”にどう対処すべきなのか。

後見制度などに詳しい弁護士の寺町東子氏は言う。

「任意後見契約の制度が始まって13年たちますが、後見監督人の選任申し立ての数はまだまだ少ない。本来、高齢者が判断力を失えば無権代理となる財産管理契約だけで、いいようにしているケースが潜在しているのではないか。各弁護士会が関与する財産管理契約では、審査をし、担当委員をつけて定期的にチェックをするシステムをつくっているが、あまり知られていないのが現状です。明らかに食い物にされていると親族や行政が気づけば、後見の申し立てをしてそれまでの不正をただすことができるが、悪徳業者が心情面で囲い込んでしまえば、第三者はなかなか立ち入ることができません」

今のところ、自分の身は自分で護るしか方法はないようだ。

「信頼関係のある相手(顧問税理士など)と高齢者の財産管理契約は決して新しいものではなく、そこに監督者を置くという発想がなかった。今後は、本人の判断力の衰えた後も本人の立場からチェックし、任意後見監督人選任や後見の申し立てをしてくれる第三者を事前に複数、依頼しておくことが重要。日本人は人生を主体的に生きてきた人が少ないので、最期も流れにゆだねてしまう。元気なうちに『死に方』について“意思”を持つべき」(寺町氏)

紹介した例は一部の業者の話だが、今後、悪質業者が増えないことを祈るばかりだ。

【寺町東子氏】

弁護士・社会福祉士。弁護士法人きぼう代表。東京弁護士会「高齢者・障害者の権利に関する特別委員会」の委員長を務める。共著に『成年後見の法律相談』(学陽書房)などがある