ニュース・お知らせ

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DATE
2014/04/16

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砂の器の世界に

大手メディカルグループから、後見の相談がありその手続きに奔走していた。

金銭管理は社会福祉協議会が行っていた。

申し立てをするのに、金銭のデータを貰わないと完成しない。

そのデータを頂きたいと担当者に連絡すると、ご本人の状態から本人申立てができないと、断定した。

私は、立会い3人がいる中でご本人に意思確認をした。

後見申し立てをするので、と理由を書いてデータ提供の依頼書を社会福祉協議会の会長あて提出した。

担当者がクレームを付けて、何の権限もない社会福祉協議会の一職員が申し立て行為を遅延させることになれば「逸失利益」が生じるとの示唆を専門家から頂いていたので、本人の意思を無視して遅延されれば、重い判断をしないといけないと覚悟していた。

入居している現地に行って本人の意思を確認したようで、通帳の写が社会福祉協議会の担当者から突然郵送されて来た。

今度は、本人の家系図を作成するための戸籍謄本や住民票の取り寄せだった。

当初面談時点では、医療機関の施設もご本人も身寄りが居ない方だと聞いていた。

調査結果がわかった。身近な親族が存在していた。

その方々への、言葉を発することができない寝たきりのご本人の後見申し立ての依頼と、もし無理であれば代理で申し立て書類を作成し申し立てを行う行為への同意を頂く文書の発送を許可を頂きにご本人へ面会した。

居室にて、施設側の立会の中でごく身近な1親等親族の存在の確認と今回の私が依頼を受けて行う行為を認めて下さいと話をした途端、言葉にならない言葉を発して、何度も大きな声で泣き出し、嗚咽を漏らした。

あの松本清張の名作「砂の器」の最後のシーンが現実に目の前に展開されて、複雑な心境になった。

身近な1親等という親族がいながら、これまでどのような心境で

「親族は居ない。天涯孤独だ。」

と言って来たのだろうか。