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DATE
2014/03/17

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成年後見人の不正、どう防ぐ 大半が親類、罪の意識薄い例も(2)

■信託制度で財産保護

 後見人は本人の財産状況について、一般的に約1年ごとに家庭裁判所に報告しなければならない。ここでチェックできないのか。司法書士の杉山さんは「最初の1年が来る前に財産がかなり使われてしまっているケースなど、被害回復が難しい現実もあります」と言う。

 ほかに不正を防止する仕組みはないのか。

 親族後見人の不正が増えたこともあり、最近は「後見制度支援信託」の利用を家裁がすすめるケースも増えている。2年前に導入された制度で、本人の財産のうち日常的に使うお金を後見人が定期的に受け取って管理、それ以外のお金は信託銀行に信託しておく仕組みだ(図参照)。

 ただ、この制度にも心配はある。信託財産をめぐって、相続を期待する親族らの意向が働く可能性があるためだ。「本人のために財産が活用されなくなるのでは、という懸念もある」(寺町弁護士)という。

 後見人には、弁護士や司法書士ら専門職が選ばれる場合もある。しかし、10年6月~12年12月に専門職による不正も26件起きている。昨年10月には、東京弁護士会の元副会長が、女性の定期預金を着服したとして、業務上横領の罪で実刑判決を受けた。

 専門職団体では、会員に後見業務の報告をさせたり、過去に苦情を受けた人を家裁に提出する後見人の候補者リストに載せないようにしたり、様々な対策をとっている。ただ「お金に困って被後見人の財産に手を付けるようなケースを事前に排除するのは簡単ではない」(司法関係者)という声もある。

 財産処分に関する後見人の権利に何らかの制限を設けるべきでは、という意見もあるが、民法改正が必要になる可能性もあり、ハードルは高い。成年後見の必要性は年々高まっているだけに、不正防止のための試行錯誤が続きそうだ。