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DATE
2013/11/26

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弱者を食い物? 成年後見不正弁護士の発生(4)

■ 家裁への報告義務無視し不正が長期化

その原因は、?そもそも資質に問題がある人物であることを家裁が見抜けないということ、?そして家裁への定期報告義務を怠る後見人に対し、家裁が強い態度で臨んできたとは言い難いということ、?そして本人の親族の弁護士への盲目的な信頼と無関心――この3つに尽きるのではないだろうか。

刑事事件化するほどの不正を働いた弁護士の中には、弁護士会の幹部を務めた人物も含まれているし、過去に懲戒歴がある弁護士も9人中2人だけ。その弁護士が食い詰めているかどうかといったことや、交通の便が悪い病院や老人ホームに定期的に本人を訪ね、本人と丁寧な対話を重ねられるような人物なのかどうか。それを家庭裁判所に見抜けるのかどうかは極めて疑問なので、入り口の部分で、資質に問題がある弁護士を排除できないということについては理解ができる。

ただ、問題は?だ。後見人は家裁に対し、定期的な報告を行う義務があるのだが、報告サイクルや報告内容は各家裁、担当裁判官、そして事案によって実にさまざまで、必ずしも1年に1度というわけでもない。だが、いずれにしても報告書の内容の精査と、報告を怠っている後見人弁護士への追及を家裁が徹底していれば、早い段階で不正に気づくはずだろう。

一般に成年後見人弁護士による財産の流用は、被後見人本人の死亡によって初めて発覚するという。しかも不正を働いた後見人弁護士が口を割らなければ、実際にいくらを流用されたのかを知る術は親族にはない。後見開始時点でいくらの資産があったということを把握できるだけで、その後の増減は後見人弁護士のみぞ知るのである。