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2013/11/21

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弱者を食い物? 成年後見不正弁護士の発生(1)

東洋経済オンライン 11月15日(金)8時0分配信

 今年8月28日、元岡山弁護士会所属弁護士の福川律美被告(65)に対し、岡山地裁が懲役14年の判決を言い渡した。交通事故や医療過誤の損害賠償請求訴訟で支払われた賠償金のほか、成年後見人として預かっていた財産など、計22件で総額約9億円を着服していたもの。福川被告は着服の事実は認めているものの、1審では着服した資金の流用先などは明らかになっていない。福川被告は9月11日付で控訴している。

10月15日には元香川県弁護士会長の徳田恒光被告(81)の論告求刑が行われ、検察側は懲役2年を求刑した。成年後見人として保管していた3人の預金など420万円を着服したとして業務上横領罪に問われたもので、判決の言い渡しは11月26日である。

10月17日には静岡県弁護士会所属の弁護士だった中川真被告(50)に対し、静岡地裁が懲役3年執行猶予4年の判決を言い渡した。こちらも成年後見人として管理していた女性の預金1460万円を、無断で引き出した横領容疑で、検察は懲役3年を求刑していた。

10月30日には、元東京弁護士会副会長・松原厚被告(76)に対し、東京地裁が懲役5年の判決を言い渡した。成年後見人として管理していた、精神障害のある女性の預金4244万円を着服したとして、業務上横領罪に問われた。

このほか、元九州弁護士会連合会理事長・島内正人被告(66)の論告求刑が11月19日に予定されている。北九州市の女性の成年後見人の男性に、女性の財産を共同で管理するよう裁判所から指示された、というウソをつき、女性の預金4400万円を自分の口座に振り込ませたとする詐欺罪のほか、複数の依頼人からの預かり金約1300万円を横領したとする業務上横領罪にも問われている。

成年後見制度に絡む弁護士の犯罪が頻発している。刑事事件化したことが報道されている弁護士は、この2年間で9人に上る。

9人のうち7人は逮捕前に弁護士登録を抹消しており、逮捕報道時は「元弁護士」という肩書きになっているが、今も2人は弁護士登録を抹消していない。

弁護士は有罪判決が確定すると弁護士資格を失うが、確定するまでは資格は維持される。推定無罪の原則に従い、弁護士会は基本的に、弁護士が逮捕されても、それ以前に出ている懲戒請求の審理をいったんやめ、逮捕を理由に除名処分を下すということはしない。

したがって、弁護士会費を支払えているかぎり、刑事被告人と言えども弁護士登録は継続できる一方で、逮捕前に破産の申し立てをして資格を喪失するケースもある。

逮捕前に登録を抹消しなかった上記2被告のうちひとりは、1審の判決待ちの状態。もうひとりは今年7月に執行猶予なしの2年6カ月の懲役という判決を受けている。 過去の事例で言えば、着服したおカネを全額返金している場合は執行猶予がついているので、返金したのに執行猶予がつかなかったのはおそらく初めてだ。