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DATE
2013/08/29

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昨年の成年後見不正事件のまとめ

認知症や障害で判断力が低下し成年後見人を付けられた人が、後見人に財産を着服される被害が後を絶たない。最高裁によると、成年後見制度の利用者が受けた着服被害は昨年、全国で575件あり、被害総額は45億7千万円と、ともに統計開始以来の最多を記録した。

最高裁によると、着服被害は統計を取り始めた2010年6~12月が111件で、総額11億3千万円。11年は年間267件、30億9千万円と前年を上回るペースで発生し、12年はさらに件数で倍増、額も1・5倍に膨らんだ。

「息子さんを業務上横領容疑で逮捕しました。部屋を調べます」。11年暮れ、札幌市の無職女性(49)はアパートの玄関で札幌地検の捜査官に捜索令状を示され、言葉を失った。

2年前に母が交通事故で意識障害になり、孫である別居の長男(26)が保険金管理のため成年後見人になっていた。「大金が入り有頂天になったのでしょう」。女性の言葉からは、祖母の財産を臨時収入のように捉えていた長男の姿が浮かぶ。長男は保険金1400万円を横領した罪で昨年、懲役3年が確定し服役中だ。

最高裁によると、加害者は親族がほとんどで、9割超を占めるとみられる。

各地の家裁は親族による着服を防ぐため、弁護士、司法書士、社会福祉士といった専門職や社会福祉協議会、市民後見10+ 件人などの第三者を成年後見人に選ぶ傾向を強めている。

しかしこれに伴い、専門職の着服が増加。最高裁によると12年は弁護士11件、司法書士4件を含む計18件と前年の3倍に増え、今年5月には東京弁護士会の元副会長が業務上横領容疑で逮捕された。

こうした事態を受け日弁連は同月、後見業務での不正防止を目的に預かり金の管理方法などを細かく定めた規則を新設。最高裁は昨年、高額の財産は信託銀行に預け、家裁の許可なしには引き出せない仕組みを導入した。