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2014/04/25

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認知症列車事故:同居の妻に賠償命令 長男への請求は棄却

毎日新聞 2014年04月24日

愛知県大府(おおぶ)市で2007年、認知症1の男性(当時91歳)が徘徊(はいかい)中に列車にはねられて死亡し、JR東海が男性の遺族に振り替え輸送代など約720万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、名古屋高裁(長門栄吉裁判長)は24日、男性の妻(91)と長男(63)に全額の支払いを命じた1審・名古屋地裁判決を変更し、妻に対してのみ約360万円を賠償するよう命じた。長男に対する請求は棄却した。

長門裁判長は、同居の妻を民法の監督義務者として、「賠償責任を免れない」と指摘。家の出入り口のセンサーを作動させるという容易な措置を取らなかったことで「1人で外出する可能性のある男性に対する監督が不十分だったと言わざるをえない」と述べた。だが、男性と別居して遠方で暮らす長男に対しては「介護について最も責任を負う立場にあったと言うことまではできない。監督義務者には当たらない」とした。

一方、JRに対しては、駅での利用客などに対する監視が十分で、ホームのフェンス扉が施錠されていれば事故の発生を防げた可能性を指摘し、安全向上に努める社会的責任に言及。賠償額は請求の半分が相当と判断した。

事故は07年12月に発生。認知症で要介護度4に認定されていた男性が、妻のまどろんだ数分間に1人で外出し、大府市のJR共和駅の線路内に入り、列車にはねられた。1審は「事故を予見できたのに徘徊を防止する措置を取らなかった」などとして、2人に賠償を命じた。名古屋高裁は今年1月、和解案を示したが成立しなかった。